概要
SPICE(Small-Molecule/Protein Interaction Chemical Energies)は、分子ポテンシャル関数の学習を支援することを目的とした量子化学データセットです。特に、医薬品様の小分子やタンパク質を扱うシミュレーションを対象としています。GitHub リポジトリにはデータセット作成に使用したスクリプトと補助ファイルが含まれますが、データセット自体は Zenodo から別途配布されています。これは学習データのリソースであり、予測モデルやすぐに実行できるシミュレーションサービスではありません。
プロジェクトの README では、バージョン 2.0 は 113,999 個の分子またはクラスターにわたる 2,008,628 個の配座を含み、構造の原子数は 2~110 個と説明されています。対象範囲は 17 元素、中性分子と荷電分子、低エネルギーおよび高エネルギーの配座に及びます。サブセットには、ジペプチド、溶媒和アミノ酸、PubChem 分子、溶媒和 PubChem 分子、DES370K のモノマーとダイマー、アミノ酸–リガンド対、イオン対、水クラスターが含まれます。これらの集合は、単一の分子クラスではなく、さまざまな共有結合性、非共有結合性、溶媒和相互作用を対象としています。
分子配置について、SPICE はエネルギー、力、結合次数、部分電荷、原子多極子などの量子力学的参照結果を提供します。計算には Psi4 を使用し、理論レベルは ωB97M-D3BJ/def2-TZVPPD です。README には、互換性のある参照データを追加生成するための入力例があり、理論手法を一致させるだけでは不十分で、プログラムと計算設定も一致させる必要があると記載されています。バージョン別のリリースは再現可能なデータセット選択に役立ちますが、出典の抜粋からは、学習済みモデルの精度や汎化性能は確認できません。データセットの利用条件は CC0 と説明されており、リポジトリのコードに適用される MIT ライセンスとは別です。
主な機能
- 分子ポテンシャル関数の学習に用いる量子力学的参照エネルギーと力。
- 結合次数、部分電荷、原子多極子などの追加参照特性。
- 17 元素、荷電分子と中性分子、低エネルギーおよび高エネルギーの配座を網羅。
- ペプチド化学、医薬品様分子、溶媒和、タンパク質–リガンド接触、イオン相互作用、水クラスターを対象とする個別のサブセット。
- Psi4 を用い、ωB97M-D3BJ/def2-TZVPPD の理論レベルで計算。互換性のある新規計算の設定を記した入力例も提供。
- バージョン別のデータセットリリースは Zenodo から配布され、リポジトリのデータ生成スクリプトや補助ファイルとは別に提供。
用途
- 評価案:選択した医薬品様分子のサブセットでエネルギー・力ポテンシャルを学習し、保留した配座で評価する。
- 評価案:ペプチド、タンパク質–リガンド、溶媒和、イオン対の各サブセットでモデルの挙動を比較し、異なる相互作用タイプのカバー状況を調べる。
- 評価案:文書化された参照特性を用いて、エネルギーとともに部分電荷、結合次数、原子多極子を学習する方法を検討する。
- SPICE に基づく学習用コレクションを拡張する際、提供された Psi4 設定で参照計算を追加生成する。
使い方
- 公式 READMEを読み、記載されたサブセット、化学的な対象範囲、参照計算方法を確認します。すべての相互作用が同程度に含まれていると仮定せず、目的とする分子系に関連するサブセットを選んでください。
- Zenodo DOIからデータセットを入手します。GitHub リポジトリはデータセットのダウンロード元ではありません。再現性のため、使用した具体的なリリースを記録してください。
- 学習パイプラインを設計する前に、ダウンロードしたリリースのファイルと利用可能な特性を確認します。評価を行う場合は、保留する配座を定め、モデルが学習する参照ターゲットを決めてください。
- 計算を追加する場合は、リポジトリの
sample.datを参照してください。Psi4、ωB97M-D3BJ/def2-TZVPPD、および提示された設定を一致させます。README は、異なるプログラムのエネルギーをそのまま組み合わせないよう注意しています。 - README の引用ガイダンスに従い、データセットの論文とバージョン固有の DOI を引用してください。データの CC0 条件とリポジトリの MIT コードライセンスを区別してください。